【幸せ研究所での活動】
株式会社ポーラでは2021年4月より、“美と健康を願う人々及び社会の永続的幸福”実現のため、
「幸せ研究所」として人々の幸福度の調査や、ソリューション開発などを行なっております。
当プロジェクトを通したWellbeing の追求について、及川社長にお話を伺いました。
**** Chapter ****
1. 研究成果として見えてきたWell beingの3つの鍵
2. 日常に取り入れよう「幸せにつながる美容ルーティン5か条」
【日本社会、そしてポーラ社での女性の活躍について】
3. 女性管理職を男性と平等にしていく中で、最も手強い課題、直面していて乗り越えなければいけない壁とは?
4. 「男性OS」から「ダイバーシティーOS」へOSをアップデートせよ
5. 及川社長が心がけるリーダー像 「人の可能性と能力を100% 信じる」
6. Diversityとは、個と組織の能力の最大化。
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研究成果として見えてきたWell beingの3つの鍵
もっと状態の良い自分でありたい、パフォーマンスをあげたいなどという意志やマインドセットの提案をするだけでもWell-beingですよね。今までも日常の業務の中で考えてきていましたが、「幸せ研究」という形で定義することによって整理ができ、ロジカルにお客様に伝えることができるようになりました。
- 自分の中にある小さな達成感を積み重ねていって、「今日もできたね」と自分を褒められることを増やすこと。
- 他人とのポジティブな関わり、例えばちょっとしたスキンシップ、相手に感謝する会話をするなど、日常の中のポジティブな関わり。
- 美容ルーティンの中でも日常でも、ポジティブなゴール設定をすること。「お金持ちになりたい」「社長になりたい」など物質的/ 地位的なゴールではなく、「これができるようになりたい」など、自己実現や成長につながる本質的なゴール設定ができること。
日常に取り入れよう「幸せにつながる美容ルーティン5か条」
- 「なりたくない状態」よりも、「なりたい状態」を意識する。
「シミが気になる」とネガティブを解消しようと考えるか、「透明感のある肌になりたい」とポジティブに考えるかでは、ゴールが同じでも気持ちが違いますよね。どちらのマインドセットでいるかによって、毎日の日々の過ごし方が変わります。
ポジティブゴールの設定を心がけた方が幸せになります。
- 結果よりもプロセスを重視する。
化粧品は使用後即座に効果が出るわけではないけれど、今日も一歩前進!ということを大事にする。ささやかでも一個できたという気持ちを大事にし、ゴールに向かって一歩前進した自分を褒めてあげることが大切です。
- 自分にあった、続けられる簡単なルーティンをたくさん持つ。
「忙しいから長い時間はかけられないけれど、毎日ローションだけは手でつける」など、自分が実現可能な範囲のことをルーティンにした方が、できなかったことを数えるよりもできたことが増え、ルーティンが楽しくなりますよね。
- 手の温もりを感じる。
美容のルーティンなので、他の人に毎日何かしてもらうことはなかなか難しいですよね。ですが、朝晩のスキンケアで自分の手の温もりを感じることによって、自分の状況や肌の変化の気づきがあったりしますよ。
ルーティンを通じて自分の状態・気持ちに気づく疲れている、肌の調子が良いなど、自分自身で気づいてあげることや、スキンケアをする際などに「楽しい」「嬉しい」など多様な感情が伴う方が、幸福度が高いようです。
これらの5か条は美容だけではなく、日常の中でも応用することができます。仕事をしている中でも、結果よりもプロセスを重視する、実現可能なルーティンを大事にする、手の温もりを通して人との関わりを大事にするなどによって、お仕事の幸せルーティンになりますし、子育てにも応用できる5か条です。
私たちは「美容」ルーティンとして出していますが、他でも汎用性があると思います。
ポジティブなゴール設定を!
幸せ研究所の成果を取り入れ、社内での意識も大きく変化しています。
ポジティブなゴール設定をすることは、接客でのお客様とのコミュニケーションの在り方や各媒体での発信、またプロセス重視のカウンセリングなど、なりたい状態をお客様に聞いていく前向きなカウンセリングの形などに生きています。
幸せ研究の前から元より、当社は「手の温もり」を大切にしております。
お客様に対して行うハンドトリートメントだとか、エステティックだとか、人の手の温もりをお客様に伝えていくという活動は、幸せ研究を経てさらに強化しています。
【日本社会、そしてポーラ社での女性の活躍について】
女性管理職を男性と平等にしていく中で、最も手強い課題、直面していて乗り越えなければいけない壁とは?
日本社会における無意識バイアス、つまりは、長年続いてきた日本の男性を中心とした終身雇用や年功序列などの社会が当たり前になって染み付いてきたバイアスがあるんですよね。それを打ち破るのがなかなか大変だと思っています。
当社でも、ジェンダー認知のバイアスというのをきちんと測って研修する仕組みがあるんですが、私でさえもジェンダーバイアスがあると気づかされます。私は当社の研修の中で教えてもらう機会が多々あるので改めて自分に問い直せますが、そうでなければ普通は、様々なバイアスの中で世の中を見ていて、それに引きずられて日本社会はどんどん遅れていってしまう。
「男性は夜遅くまで働けるものだ」、「お母さんが働いていると子供がかわいそう」というような三歳児神話など、だいぶ壊れてきたと言ってもまだまだ強固なバイアスが残っています。そこを企業の中でも、社会の中でも打ち破らないと、誰もが活躍する社会にはまだまだならないです。まずは小さい社会の単位である企業の中から変えていかなくてはなりません。
「男性OS」から「ダイバーシティーOS」へOSをアップデートせよ
そのために、企業の「OS」を「男性OS」から「ダイバーシティーOS」に変えていく。みんな自覚していないけれど日本社会は男性OSであることが多い現状です。OSって新しくする時、少しストレスがあるじゃないですか。前までできていたことができなくなる、と思いがちですが本当は変わった方が便利なことが多いんですよね。
女性がやる気になっても、社会のバイアスの中で批判的な目で見られてしまうと辛くなってしまう。そうすると、ただ女性たちが悩む時代が繰り広げられてしまいますよね。
たまたま強い意志を持ったスーパーウーマンが出てきて殻を破ってちょっとずつ活躍できるようになることもありますが、多分日本はそのスピードが遅いんです。社会の枠組みに対して壊して進化していくイノベーションが足りないのだと感じています。
及川社長が心がけるリーダー像 「人の可能性と能力を100% 信じる」
「人の可能性と能力を100%信じること。」
多分まだ芽吹いていなかったり、育てきれていなくて発揮できていなかったり、機会を与えられていなくて発揮できていない人はいるかもしれないけれど、必ずその人にも適材適所があるということを信じることが理想リーダー像です。
リーダーも一人では何もできないので、チームビルディングが大事になってきます。人をエンパワーしてチームビルディングに取り組むことが必要不可欠です。みんな私と同じ方向を向いているとは限らないですが、大きなゴールだけ一緒に握って、あとは得意技や考え方はそれぞれ違う人たちがたくさん集まって各人のやりたいことを理解して一緒にゴールに向かってもらうにはどうすればいいか、対話を重ねてチームを統制していくイメージです!
でも、闇雲に信じることはできないので、ちゃんと人を知ろうとするということが大事なんですよね。他の人から聞いた凄いところだけではなく、自分で向き合って対話をしてきちんとリスペクトを積み重ねていくことを大事にしています。
Diversityとは、個と組織の能力の最大化。
Diversityの文脈として、「女性活躍」がメインで世の中に浸透していると思うのですが、ポーラとしては「一人一人の能力の最大化」というのがDiversity & inclusionの根幹だと考えております。
ポーラはたまたま女性が多いので、一人一人の能力の最大化を重視していると、女性の能力の伸び幅の大きさに気付かされるんですよね、もちろん男性も、です。
一人一人の能力の最大化をするということは、自分自身の可能性に気づく人を増やすことでもあります。あるいは、自分自身がもっとこういうスキルを手に入れたい、こういう人になりたいなどというビジョンが発露しているとすごく伸びるし、自分でやりたいことを頑張るといつの間にか夢中になる人もいると思います。
そういう人を作り出せる組織風土だったり、マネージメントシステムがあると、
男女、年齢、障害の有無、家庭環境、健康状況などにかかわらず、個々の能力を最大化でき、それが集まった組織としてのまとまりが生まれます。どんどん面白いことが起きて、仕事のクオリティーが上がりますよね。そうするとより効率的かつパワーを持ってビジネスに対応できるので、事業成長は然るべきだと思っています。
なので、私にとって組織のDiversityとは、個と組織の能力の最大化なんですよ。自分はもっといい仕事ができるはずだと思う人が男女関係なく沢山いて、その人たちが心理的安全性を持って、健全なコンフリクトを起こせる行動をし、それをサポートする人たちがいて、というのが理想の組織じゃないですか。それで失敗してもまた立ち上がれる組織であるといいですよね。
Diversityの行きつく先を、推進する側の私たちがイメージできずに、とりあえず言われたから/評価されたいから、など違う理由で推進してしまうと「やらされるDiversity」になってしまいますよね。
ゴールとしてはイキイキと仕事に向き合って、ポジティブに成果を出し続ける組織を作りたいから、Diversity and inclusionなんですよ。それって結局、きっと組織のWell-beingですよね。