中空麻奈 氏
「女性が活躍する会社は収益性が高い」のは本当か?

12月 2, 2022 | Interview

中空麻奈 氏

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 チーフクレジットストラテジスト兼チーフESGストラテジスト

経済財政諮問会議民間議員

財務省財政制度審議会起草委員、国税審議会メンバー、

行政改革推進会議歳出改革等ワーキンググループ構成員

経済産業省GXに向けた資金供給の在り方に関する研究会委員

他多数

 

 

「女性が活躍する会社は収益性が高い」のは本当か?

 

いきなりですが、私自身、「女性、女性」って言われるのは実はあまり好きじゃないんです(笑)

もちろん、世の中の「女性活躍推進」の流れの中で女性が活躍することはとても良いことだと思います。

ですが、私自身30年のキャリアがあって、今まで一生懸命頑張ってきたので女性の風が吹いていていいよねとか、女性初の経済財政諮問会議民間議員とか、女性という部分だけにフォーカスされるのは正直違和感があり、こういう取り上げられ方をしている段階で、ちょっと違うのではないか?という気もしています。

 

女性リーダーのワーク·ライフバランスとは?

 

女性が活躍するようになれば、必然的にリーダー的な役割を担う人も増えてくると思います。

しかし、求められるリーダー像という切り口で言えば、「女性か男性か」ということは、関係ないと考えています。あるべき目標を目指してグループを導いていけるか?しっかりと結果を出せるか?それが重要ですよね。

また、女性がリーダーとして働く上で、ワーク·ライフバランスの話になることも多いです。

責任のある立場だと、プライベートを犠牲にしなくてはいけないのでは?出産や育児などに時間を取られる女性はその点で不利ではないか?という論調ですね。

ですが、私自身はワーク·ライフバランスという感覚をもったことがありません(笑)

正直、「ワーク」と「ライフ」を切り分けたことがないんですよ。だって、両方、私の人生ですからね。

仕事場にいるときだけ仕事しているわけではなく、家に帰っても仕事する。

そして、仕事場にいるときも母親ではありますから、それを無理して切り分ける必要は無いよね?と。

 

人生はケセラセラ「足して120点」で良い

 

結婚している方、お子さんがいる方、もしくは、まだ家庭はないけどこれからという方、そして、結婚はしないという選択をした方、色々いらっしゃると思いますが、どのような方でも、仕事とプライベートの「総合」で自分を評価して良いのではないでしょうか?

例えば仕事場で60点、家に帰って60点なら「120点になる!!」そう考えてみても良いかもしれません。

仕事も100点、家庭も100点でないと···いうように自分を追い詰め過ぎずに、上手く「逃げる」という感じですかね。

「ケセラセラ」が私のモットーです。

仕事で失敗した、でも家に帰って可愛い子供の顔を見て家庭のことを頑張る。もしくは仕事で新たにチャレンジをして80点取った。でも最近ちょっと子供の面倒に手を抜いたかな?と自分を戒める。どちらのケースでも100点以上になっているのであれば、「私は大成功している!!」そう考えるようにしています。

毎日毎日が完璧にいくことはほとんどないので、細かいことは気にしない、飲んで、食べて、寝て、新たな気持ちで明日を迎えましょうということですね。

 

2030 30%? あるべきは2030年 50%では?

 

最近、政府が「2030 30%の女性役員比率」という目標を明言しました。

しかし、私はこうも思います。半分は女性なのだから目標は50%にするべきでは?と。

もちろん、これまでの社会的背景や女性登用の遅れから現状では「女性マネージメント層が薄い」という問題があり、その結果として、経営層に男性の比重が多くなることは仕方ない部分もあります。

しかし、あくまで「目標」ですから。まずは目指さないと。そのためにも、私自身は国も企業も2030 50%と堂々と設定するべきだと考えています。

 

失われた(失った?)30年、日本の非多様性が原因?

 

私が社会に出たのは1991年ですが、現在までの30年間、株価と円ドルレートは多少の上下をしながらも、ほとんど変化していません。つまり、この30年間「日本は成長してない」ということになります。

所得が上がらない、デフレから抜け出せない、日本の国力が落ちた、最近こんな声が多く聞こえてきますが、これには、様々な理由があります。一つは「人が入ってこない」ということが大きいかもしれません。

ご存知の通り、アメリカは次から次へと移民が流入してきますし、中国はもともと人口が多いです。

そこには競争があります。

しかし、いつ頃からか日本は競争を嫌うようになりました。それが国力低下の原因の一つだと考えています。

良し悪しは別にして、日本は国内マーケットがそれなりに大きな規模を維持しているので、厳しい競争や努力をしなくても済む「井の中の蛙」になってしまったのかもしれませんね。

映画「三丁目の夕日」などを観ると、あの頃の日本は皆が「明日はきっとよくなる!!」というような希望に満ちあふれているような気がして、ちょっと羨ましいですが、今はそのようなクリエイティビティやパッションが失われてしまっている印象です。

しかし、後悔ばかりしていても仕方がないですよね。
どうやって起死回生のショットを打つか?ということで、でも、なかなか打つ手がない中での「女性の力」です。
ぜひ一丸となってうまくV字回復させていく原動力になっていければ、というところです。

 

 

 

その時代、時代のドラマに反映される求められる女性像

 

流行りの人気テレビドラマを分析すると、時代背景が見えてくるんですよね(笑)

その時代、その時代で「良し」とされている家庭や女性像がドラマの中で描かるからです。

私が社会に出た1991年の「東京ラブストーリー」は女性が強くなりはじめた頃の話。

それから一転して2000年には「やまとなでしこ」が流行って、家庭に入る女性がいいよねという風に、やや昭和の時代に引き戻された感じがします。そして、最近の2020年の「私の家政婦ナギサさん」では、遂に男性が主夫として家庭にいるという構図が描かれるわけです。

求められている女性像が変わってきているんです。面白いですよね。女性に対して求められるニーズや、将来像、憧れなどが流行りのドラマを通して、現代の女性に刷り込まれている部分も相当あるかもしれませんね。

ですから、最近は「子供が8人いるかっこいい女性を描いたドラマ」が脱少子化のための必要です、と提言しているんです(笑)

 

Inclusion(インクルージョン)=「来るもの拒まず」

 

インクルージョンって「来るもの拒まず」という精神だと思っています。

誰の事も否定しない、ということです。

仕事においても同じで、基本的には選ばずになんでも引き受けるようにしています。

勿論、無理なことは無理です、と言う勇気も大事ですが、それでも極力仕事は選ばないようにしています。

そうでないと、私の中ではインクルージョンじゃない!!と思っているんです。

あくまで「私は」という話なのですが、私自身は働くことが大好きで、今でも朝4時に出社して、夜中の2時まで働くことが苦じゃないんです(笑)

自分の考えを聞いてもらえる場所があり、聞いてくれる人がいることが頑張るモチベーションで、そして、そのような場では自分の名前を出して意見を言うわけですから、しっかりと責任も持ちます。

そして、

20歳の顔は自然の贈り物、50歳の顔はあなた自身の功績」

ココ·シャネルの言葉です。

インクルージョンに「来るもの拒まず」で色々な人と付き合って、色々な仕事をする。その過程が自分を成長させてくれるのだと思います。

 

「女性が活躍する会社は収益性が高い」のは本当か?

 

女性、女性と、ことさらに強調するべきではなく、男性女性関係なく、頑張っている人は応援したいし、報われるべきだと思っています。そういう意味では「女性が活躍する」から「収益性が高い」ということではなく、女性とか男性とか関係ないよねというような風土を持つ会社の業績は自然と伸びていくということなのではないでしょうか。

もちろん、そういう観点から言えば女性だから使わないというように入口の段階からハードルを設定するような会社はそもそも間違っていて、そういう企業こそ進んで変わっていくべきだと思っています。

そして、私たち女性自身も、どうやって働いていくべきか?どうしたら社会問題を解決していけるのか?そのようなことを自身に問いかけながら、そして制度に甘えるばかりでなく頑張っていかないといけないですね。

未来は報告書に女性比率とか、女性役員が何人いるとか、そんなことを書かなくて良い時代になっていると良いな。そう考えています。

 

 

 

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